沖縄。私は沖縄のことをほとんど知らないので、せめて「米軍『普天間』飛行場の『辺野古』移設問題」だけでも今よりは知っておきたい・・・。
そう思っていた時に出会えた本
「職業政治家 小沢一郎」佐藤章さん:著
第2章「辺野古埋め立ては必要か」
鳩山元首相が「国外、最低でも県外(移設)」と言っておきながら頓挫した件。
P139~174の36ページ分というコンパクトな文量だったので、私のおつむでも(読んだ直後は)理解できました。
以下、
佐藤章
「職業政治家 小沢一郎」
朝日新聞出版 2020年9月発行
によると、
普天間からの移設の候補地は、辺野古ではなく「徳之島」と「米国自治領 テニアン島」だったとのこと。
この本で、ミステリーじみた不思議な話として紹介されているのは、
「外務省と防衛省などの職員が三人、2010年4月19日か20日、鳩山のもとに三枚紙のぺーパーを持参。極秘印の押されたペーパーの中で最も重要な部分は、米海兵隊が訓練をする場合には陸上部隊とヘリの回転翼航空部隊が六十五海里(約120㎞)以上離れてはいけないという米軍内のマニュアルが存在する、としている点」とのこと。
鳩山元首相はこの文書を見せられたことで、沖縄から約192km離れた徳之島への移設(県外移設)を断念。
(当然、海外移設も断念)
鳩山元首相が首相も議員も辞めて後に確認したところ、米軍のマニュアルにこのようなものの存在は「確認できない」との米大使館の回答。外務省も「極秘文書の管理簿にこのペーパーはありません」との回答。
2016年、ジャーナリストのインタビューに対し、ペーパーを持ってきた三人が誰なのか鳩山自身は「私もうろ覚えになっているといけないので今は申し上げないほうがいいと思います」と。
移設に向けた検討がなされていた当時、テニアン市長は普天間飛行場の移設先として、受け入れを表明。
鳩山首相(当時)の代理で川内博史衆議院議員(当時)がテニアン島を現地視察。外務省・防衛省は一顧だにせず。
鳩山首相(当時)の人脈から派遣された自衛隊関係者はテニアン島を視察した後、(米軍約4000人が沖縄から移転する)グアム島を訪れ、海兵隊高級将校の話を聞き、「米軍は(普天間の移設先としては)テニアン島が最適だという本音を持っている」「深い海を埋め立てる辺野古よりも、テニアン島に既に存在するハゴイ飛行場(別名ウシ飛行場。現ノースフィールド飛行場)を整備する方がより安全だ。しかもテニアンの利点としては、今やグアムにさえ無いジャングル内の訓練場がある」という認識を得る。
が、この自衛隊関係者のテニアン・グアム派遣は2010年5月初旬。
鳩山首相が当時の仲井眞沖縄県知事に「県外、国外断念」を伝えたのは同年5月4日。
自衛隊関係者の視察の情報が鳩山の判断に関して「とても間に合うようなタイミングではなかった。」(佐藤章さん)
「小沢が無任所大臣として噛んでいれば、米国との交渉の結果テニアン島という現実もありえただろう。」(佐藤章さん)
謎のペーパーを持参した三人、誰の差し金なのでしょう?
鳩山氏は佐藤章さんの直接インタビューに答えて、「外務省が『米国から言われて』という話でした」とのこと。
後日の確認については、素人の私が思うに、本当はそういうマニュアルがあるのに米国側が「ない」と言っている可能性もあるのでしょう。外務省がうその情報を持ってきたわけではなく。
「外務省と防衛省などの職員三人」が、「何としても移設先を辺野古にしたい有力政治家(?)に指示されて」それで虚偽のペーパーを持参した可能性もあるのでしょう。
素人の私にはわかりません。
この本で佐藤章さんが小沢一郎氏に「よく指摘されるように、辺野古を埋め立てる利権といったものが背景にあるのでしょうか」と質問をぶつけています。
(小沢一郎さんは辺野古移設に反対の立場。2010年の民主党代表選で「普天間については(辺野古ではなく)アメリカとこれからまだ話し合う余地がある」と主張。小沢一郎氏はこの代表選で敗れました。)
小沢一郎氏
「政府がそういう理由だけでやっているわけではないと思いますが、外務省、防衛省も含め、推進する者の中にはそういう利権絡みの話も出ていることはまちがいがありません。
だけど、安倍さんの感覚は、一度日本政府でやると言ったことだから『やるんだ』ということではないでしょうか。それともう一つは、日米同盟の強化を演出する必要があるということでしょう。その二点だと思いますね。」
佐藤章さんも「ウラが取れなかったから」でしょうが、辺野古の利権についてはそれ以上の言及はありませんでした。
私はこの本を(辺野古の部分だけでなく)一冊全部読みました。
この本を読んだだけでいうと、小沢一郎さんの印象が180度変わりました。
ただ、一冊の本だけでその内容全てを真実と思うのは避けた方がいい・・・というくらいの認識はあります。(※文末に2024年5月3日の後日追記あります。)
ただ、この本の著者である、ジャーナリスト佐藤章さんは、第二次安倍政権の安倍首相辞任(のXデー)を誰よりも早く正確に発信していた方だそうです。
確かな情報人脈。得た情報からピースを組み立てていく政治洞察力。そういったものの賜物なのだと思いました。
佐藤章さんではない別の記者の話ですが、NHKのある記者などは、安倍首相のお宅に招かれるほどの仲になったおかげで、他のメディアよりも数時間早く情報を回してもらって「特ダネ記者」とされていたようですが、礼賛することでネタを回してもらうようなそんな「く〇れWIN-WIN(?)」ではなく、佐藤章さんは正真正銘のジャーナリストのようだと、私はそうお見受けしました。
<税を追う>辺野古下請け 黒塗り開示 公開義務の施工体系図:東京新聞 TOKYO Web
怪文書飛び交う永田町で聞こえる「ポスト菅」3つの可能性 | FRIDAYデジタル
(後日追記:2024年5月3日
「今の日本の政治がこんな感じなのは小選挙区制が原因なのだ」という話は以前から目にしていて、これについては私も「確かにこれは問題だ」と思うようになりました。
以前の私は不勉強でした。(今も知識はありませんが。。。)
政権交代を可能にする二大政党制といえば聞こえは良いですが、日本では実現しなかった。
そういう意味では、その小選挙区制導入の主導者であった小沢一郎氏を恨めしく思う気持ちが強くあります。二度の政権交代を主導した実績はある方なので、本当に佐藤章さんの著書にあるような志がある方ならば、そして、政治家としての気力がまだ残っているのならば、この先、政権交代に向けての尽力には期待したいです。
選挙制度については、上脇教授が意見表明してくれている「完全比例代表制」、日本もそれが実現すればいいのに・・・と今の私は思っています。
可能性は限りなく低いのかもしれませんが、実現してほしいと思っています。
2024年5月3日の後日追記はこれで終わりです。)