こうきちの小屋 はるのこうきち雑記ノート

抱きまくら抱きしめて眠るおじさんの日々

スラムダンクで一番泣いた場面

「私がスラムダンクで一番泣いた場面」は後で発表します。
勘がいい人なら早い段階で正解に気づくと思います。

15年だか20年だか前に仕事で大都会に出向き、横断歩道の信号待ちをしていました。
その時に私は「あれ?!」と思いました。
その時そこで信号待ちをしていた十数名の中で、「私が特に大きいわけではない・・・」ということに気づいたから。

と言いますのも、私、小中高のクラスで「大きい方から2番目」までに入らなかったことがありません。
必ず「一番長身」か「二番目」。(自分より大きい奴がいたらホッとしていました。)
そんな自分が「今いるここの十数人の中では『特に大きい部類』に入っていない」
そんな日が来ていたなんて。
「日本人の平均身長が大きくなったということなんだろうなあ」と思いました。
(たまたま大きい人が集中した信号待ち回だったかもしれませんが。)

そんな「私の世代では長身の部類」だった私。
長身ということで余計にみじめな思いをした面がありまして、それは「運動神経がガタガタのくせに、うっかりスポーツの道に足を踏み入れてしまったから」
過去記事で野球アニメ「キャプテン」について触れたので隠しても無駄かもしれず発表しますと、私は野球少年でした。

で、中学3年生になりたての時点で「私の最終身長」の98%に到達していた私は、中学生にしては大きかった。
そんな大きな中学生はどのチームにもいるわけでもなく、数チームに一人いるかいないか。
子どもの中に大人が混ざっているような体格差ですから、そういう子はどのチームでも「4番」。もしくは、「エースで4番」。
なのに・・・私は最終学年の最後の公式大会でもベンチに入れない補欠でした。
いや、ベンチに入れなかったのですから「補欠」も名乗れないのかもしれません。補欠外部員でした。

へたくそ過ぎて、日々の練習でもみじめな思いをしていたのですが、もっと嫌だったのが対外試合の日。
その日の対戦相手から「あ・・・、今日の相手にはすごそうな(でかい)奴がいる・・・」と思われているであろうに、その私はメンバー外。ベンチ外。
みじめでした。
自分が大きくなければ、このみじめさは半分くらいで済んだのかもしれないのに・・・。自分の身長を恨みました。
レギュラーじゃない選手同士の対外練習試合に出場した際には、私の走塁を見た敵チームのベンチから爆笑が沸き起こりました。

過去にそんな日々を過ごした私は、スラムダンクのある場面で涙が止まらなくなりました。
単行本で言うと19巻。
ライバル校・陵南のキャプテン(ビッグマン)魚住の回想シーン。
「もう辞めます」と心からの本音を絞り出した後のさらなる言葉。

「自分は ただでかいだけって
陰口たたかれてるのも知ってる」

まずここで泣きました。魚住君ほどの破格のでかさではなかったとしても、彼の気持ちはわかる気がしました。

そして、それを受けての田岡先生の言葉。

「この田岡茂一が陵南の監督に就いて10年ーーー
初めて今年 チームの中心になれる男を得たんだ

それはお前だ
『ビッグ・ジュン』

でかいだけ?
結構じゃないか
体力や技術は身に着けさすことはできる・・・
だが・・・

お前をでかくすることはできない

たとえオレがどんな名コーチでもな

立派な才能だ  

お前が3年になった時
陵南初の全国大会出場ーーーー

オレはそんな夢を見ているんだ・・・」

 

私、泣きました。
(有名な安西先生だけでなく、私は、田岡先生、あなたも素晴らしいと思います。)

私は野球を離れ、違うスポーツに転向しました。
そのスポーツには一部、大きさや重さが価値を持つポジションが含まれていました。
私は(魚住君のように「チームの中心」というほどの存在にはなれませんでしたが)肉体改造の結果、レギュラーになることができ、「大きくてよかった」と、自分の身長に感謝できるようになりました。

私、スラムダンク全巻は持っていないのですが、この19巻は所蔵しています。
この記事を書くために今読み返したら、また涙が出ました(笑)

私の世代までしか理解できないことかもしれませんが、私のように「長身だけど動きがとろい運動部員」が、当時必ず言われたであろうあだ名があります。

「馬場」

プロレスラーのジャイアント馬場さん。
馬場さん、若い頃は飛んだり跳ねたりなさっていたようですが、晩年の試合ぶりはちょっとユーモラスでした。
「長身だけど動きがとろい運動部員」は馬場さんの晩年の試合ぶりを重ねる意味で、ほぼ全員が「馬場!」と罵られたことがあるのでは?と思います。
私は転向後のスポーツでレギュラーを獲れましたが、それでも「馬場呼ばわり」はしょっちゅうでした(笑)

かつて「馬場」と呼ばれたことがある者なら皆、19巻のあのシーンで胸に来るものがあったのでは?と思います。

私は幸いにも後に「大きくてよかった」と思えるようになりました。

かつて日本全国にいたであろう、私以外の「馬場くん」たち。その一人でも多くが後の人生で「大きくてよかった」あるいは「自分が大きいことは、もうどうでもよくなった」と思えていることを祈ります。

 

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