「おならとうさん」(作:はるの こうきち)
1
おとうさんからきいたおはなしです
おとうさんがちいさいころ
おとうさんのおかあさん(わかいころのおばあちゃん)につれられて
かいものにでかけたとき
わかいころのおばあちゃんがうっかりおならをだしてしまったんだって
ぷぅ~
2
そしたらおばあちゃん、
「やだね、まさお、おならなんかして」って
おとうさんのせいにしようとしたんだって
おばあちゃん
はずかしかったんだね
3
でも、おとうさんは
「ぼく、おならなんかしてないよ
おならしたのはおかあさんだよ
きこえたもん」ってばらしたんだって
おばあちゃん、おとうさんをかかえてダッシュっでそこからたちさったんだって
おとうさんはそのことはおぼえていないらしいんだけど
4
おとうさんがちゅうがくせいのとき
やすみじかんに
ちかくにすわっていたじょしのP子さん(仮名)がおならしたんだって
ぷすっ
P子さんはおとなしいこで
ごうかいなかんじのこではなかったから
うっかりでてしまったみたい
5
そしたらまわりにいただんしはおとうさんをうたがったんだって
「まさおだろ」
「まさおだろ」って
6
おとうさんは
「いや、おれじゃないよ」ってしょうじきにいったんだって
おとうさんは
P子さんのみみがまっかになってたのを
いまでもときどきおもいだすんだって
7
そのあとおとうさんはかんがえたんだって
P子さんにたいして「かのじょになってほしいなあ」というようなとくべつなかんじょうはなかったけど
じょしのピンチをすくうために
「えへへ、うっかりでちゃったよ」って
おれがいってあげればよかったのかなって
8
そんなおとうさんも
そのあとはとくにおならのじけんもなく
おとなになったらしいんだけど
あるあさ
かいしゃにいくために
ならんでバスをまっていたんだって
9
そのときにまえにならんでいたわかいおんなのひとがおおきなおならをしたんだって
ぶーぅっ!
ひらひらのスカートをはいていて
おしりのところがふわっとなった・・・
10
・・・というわけでもなく、
ふつうのスカートだったから
なにもしょうこはないんだけど
あきらかにおとのかんじで
まえのそのひとだってわかったんだって
11
そのときおとうさん
なぜだかしゅんかんてきに
「あ、すみません!ぼくです!しつれいしました!」っておおきなこえでいったんだって
12
しかめっつらのひとや
にこにこしてくれたひと
いろいろいたけど
まえにならんでいたわかいおんなのひとのみみがまっかになっていたんだって
13
そのときおとうさんは
「P子さん、これでよかったんだよね」っておもったんだって
そのときバスをまっていたおんなのひとはP子さんじゃないんだけどね
14
バスをまっていておおきなおならをしてしまった
そのわかいおんなのひとはいま
ぼくのおかあさんです
かばってくれたおとうさんに
あとでこっそりおれいをいって
なかよくなって
けっこんしたんだって
15
おかあさんは
ぼくたちのまえで
おならをしないけど
おとうさんは
ぼくたちのまえで
ぷ~ぷ~ぷ~ぷ~
おならをします
ときどきひとりで
「チュ~リッ」 ぷっ とか
「サッカー」 ぶっ とか
しています
おかあさんは
「また『ぷ~』してるよ~」とかおをしかめますが
ほんきでおこっているのかはふめいです
(おしまい)
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