こうきちの小屋 はるのこうきち雑記ノート

抱きまくら抱きしめて眠るおじさんの日々

気乗りしない時の断り方

20年以上前になるのか。
職場メンバーでの飲み会がお開きとなり、駅へと向かう者もいる中、目上の二人に声をかけられた。
「酒はもう飲まないけど、そこの喫茶店でコーヒーでも飲みながらもう少し話そうや」と。

私は嫌だった。
やっと飲み会が終わったのに、さらにだらだらとこの二人の話を聞かされるのは嫌だった。
私は間髪入れずに言った。

「納豆を買わないといけないので、今日はこれで失礼します!」

さらに
「もうすぐ店が閉まってしまうので!」
と畳みかけ、
二人が何かを言う前にその場から立ち去った。
一応、「すみませ~ん!」と言いながら。

 

「後で買えばいいだろう?」と言われるわけにはいかなかった。
声をかけられた場所から24時間営業のコンビニが見えていた。
(私の自宅近くにだってもちろん24時間営業のコンビニはあった。)

「断りたい!」と思った瞬間に私の脳内に沸き出てきた言葉がなぜか「納豆」だった。
もう納豆で行くしかない。
勢いが全てだ。

 

若気の至り(?)のこのエピソードはわが妻子にも気に入ってもらえた。

それをいいことに私は妻子に極意を授けた。

「断りたいと思った時は、まずなんでもいいから口に出すんだ。
大事なのは勢いだ」と。

「『あ、こいつ、断る理由を今考えてるな』と思われたらアウトだ。
何かひとこと言ってしまえば後は何とかなる。
大事なのは勢いと言い切る力だ」と。

 

「でも、『納豆』は無いな」と妻が笑っていた。