こうきちの小屋 はるのこうきち雑記ノート

抱きまくら抱きしめて眠るおじさんの日々

「ぼくのメジャースプーン」「図書室で暮らしたい」辻村深月

辻村深月さんのエッセイ集「図書室で暮らしたい」を図書館で見つけたので、借りてきて読みました。
心に沁み入ってくるお話が連なっていました。
でも途中、「私のような者がこの本に手を伸ばして良かったのだろうか・・・」という後ろめたさも感じました。私は『ジョジョの奇妙な冒険』ファンでもなく、この本の中で紹介されていた本をほとんど知らなかったので(汗)

それに、私は辻村深月さんの著作をこれまでに一冊しか読んだことがないから・・・です。
読んだのは、小説「ぼくのメジャースプーン」

かなり前に、本を紹介する雑誌「ダ・ヴィンチ」を図書館で借り、そこに「ぼくのメジャースプーン」が紹介されていて興味を持った・・・。そんな感じで読みました。
それ以来、辻村深月さんの名は忘れず頭にありました。
(わが子と一緒に観に行った「映画ドラえもん」のストーリーが辻村深月さん担当と知った時は「あっ!」と思いました。)

「ぼくのメジャースプーン」、主人公の少年に感銘を受けました。

他の主要登場人物が辻村深月さんの他の著作にも登場しているらしく、ファンからすると「ベストな読む順番」もあるそうなのですが、私はこの一冊の「前」にも「次」にも手が出せませんでした。
「ぼくのメジャースプーン」の主人公の少年に感銘を受け、小説としてもとても面白かったのですが、この作品に出てきた少女「ふみちゃん」。
私は生まれついての聖人君子ではありませんが、今はそれなりには良識ある人間になれているつもりでいます。
でも、かつての私、子どもの頃の私は、「ふみちゃん」のような存在を心の中で軽んじたことや蔑んだことはなかったか?
心の中だけでなく、実際に傷つけたことはなかったか?(・・・「ある」と思う。)
私の中のかつての「悪人性」を思い出し、それを直視させられるのがつらくて、それで辻村深月さんの他の著作に手を伸ばせなかった・・・というのを、久しぶりに思い出しました。

「ぼくのメジャースプーン」が単独で十分面白かったから、「この世界を広げなくてもいい、この世界はこの世界のまま自分の中に残したい」・・・という気持ちもあったように思います。主人公の「ぼく」は本当に頑張ったと思う。

「ぼくのメジャースプーン」、内容を忘れかけている部分はありますが、このタイトルはずっと忘れずに私の胸に残っています。
私にとって、そういう一冊です。

 

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

図書室で暮らしたい