こうきちの小屋 はるのこうきち雑記ノート

抱きまくら抱きしめて眠るおじさんの日々

休み時間のドッジボール

小学生の頃、昼休みによく校庭でドッジボールをしていた。
最初に参加メンバーで土のグランドにラインを引いていた。
と言っても、休み時間なので石灰ライン引きなどではなく、クツで地面をずりずりしてだ。

そうやって全員でラインを決めたのに、ボールを持つたびに大幅にラインオーバーする男子が一人だけいた。
「俺が敵をアウトにする!俺、大活躍!」
そのために毎回毎回大幅にラインオーバー。
強い球を投げるための助走。ターゲットに接近するための違法な侵入。
ダダダダダダダと6,7歩。
夢中になってラインが目に入らない、ではない。
その男子は、数年後には皆が予想していた通りのヤンキー中学生(不良少年)になった。
そういう男子だったので、そのドッジボールの時も「どうせ誰も俺に文句は言えないだろ?」という感じはありありだった。

その彼の考えの通り、恥ずかしながら残念ながら、私は彼のラインオーバーを一度もとがめることができなかった。
苦々しく思いながら。

そんな彼のラインオーバーに不満を表明する子もちゃんといて、でもそれは100%女子なのだった。
将来の不良少年くんは、女子に文句をぶつけられることも楽しんでいるように見えた。
「俺だけの特権だぜ」と言わんばかりに。にやにやして。

私は彼を苦々しく思っていた。大幅ラインオーバーはうんざりだった。
みんなもそう思っていたに違いないと、つい最近までそう思い込んでいた。

でも、違うのかもしれない。

 

かつて自分のクラスにそういう男子がいた人の中には、あるいは、今このエピソードを読んだ人の中には、こう思った人もいるのだろう。


「そういう子、いるよね。ほほえましいね」
「ルール違反なんだろうけど、そういう子、ちょっとかっこいいよね」
「僕もあんなふうにルール破りしてみたかった。小心者の僕にはとても無理だったけど。正直にいうと、僕はラインオーバーくんにあこがれた」

そういう人もたくさんいるんだろうな、と思った。最近そう思うようになった。
「そういう人が自民党に投票するんだろうな」と。

 

ラインオーバーの彼は、自分だけでその特権を楽しんでいた。
でも、似た少年の中には「お前もやっていいぜ。文句言う奴がいたら俺がしめてやるからよ」と、ルール破りを仲良しにだけは許すようなケースもあるのだろう。
そうであれば、同じ特権を持たせてもらった子の中には、ラインオーバーくんの支持者となり、喜んで子分くんになった子もいるのだろう。

 

でも、ここ十数年、毎回これだけ自民党が選挙で勝ってきたということは、日本人はヤンキー的ふるまいが好きなんだな。
世間ではヤンキー的ふるまいができる人は好まれるんだな。
私はヤンキー漫画ヤンキー映画は好まないのだが、ここ十数年の自民党勝利の歴史でそれを思い知らされている。
実際、ヤンキー映画は今でも大人気みたいだし。

自民党一強は選挙制度のおかしさも一因のようだが。)

 

そして、話は変わるが。
真面目さを見込まれて学級委員長に推薦されるような子。
そういう子を学級委員長に推薦するような真面目な子。
かつてそういう子だった人はきっと立憲民主党やれいわ新撰組を支持するのだと思う。

そう考えると、立憲やれいわへの支持が世間に広まらないのも納得がいく。

学級委員長なんて誰がやってもいいと内心そう思っている子どもが大多数だったのだろうし、真面目男子や真面目女子の学級委員長就任を心から願っていた子どもなんて、きっと少数派だったのだろう。

今はなんとなくそれがわかる。たぶん、そうだったんだな、と。
だから今の日本では立憲民主党やれいわ新撰組は支持されないのだ。

 

私は故意ラインオーバーくんが好きではなかった。
そんな私が少数派だったのかもしれないという事実に今頃気づいて、私は今少し戸惑っている。

 

 

 

 

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